肩関節周囲炎かたかんせつしゅういえん
-症状-
肩に痛みが生じて関節の動きが悪くなります。主に50歳代を中心とした中高年の方に多い症状です。
発症初期は痛みが強く、寝返りをすると肢位がズキズキ痛み、眠りを妨げます。痛い方を上にしてやや屈曲位にすると痛みは緩和します。(炎症期 2-6か月)
その後は動きの制限・動かしたときの痛みが主な症状になります。(拘縮期、寛解期)
江戸時代の俚諺集覧には、『凡、人五十歳ばかりの時、手腕、骨節の痛むことあり、程すぐれば薬せずして癒ゆるものなり、俗にこれを五十腕とも五十肩ともいう。又、長命病という』と記されています。
-原因・病態-
諸説ありますが、肩関節を構成する筋肉や腱などの組織が加齢とともに退行変性することに加えて、運動不足や悪い姿勢により骨盤・胸郭の動きが低下している状態のまま腕を使用することで、肩関節に過剰な負荷がかかり発症する、と考えられています。
-治療-
肩関節周囲炎の病期(病状の進行度を分類したもの)は、
①夜間痛や安静時痛が強い炎症期(2-6か月)
②可動域の制限や可動時痛がメインの拘縮期(3-12か月)
③可動域が改善していく寛解期(12-24か月) に分けられます。
炎症期で痛みが強い時期は安静を第一とし、痛みのコントロールを優先します。痛みを抑えるための内服薬、注射、消炎鎮痛リハビリを行います。痛みがある程度治まってから、積極的に肩を動かします。
日常生活では肩用サポーターを使うなど肩を冷やさないようにしましょう。仰向けに寝ると痛い場合には、肘の下にクッションを入れるとよいことがあります。
拘縮期・寛解期は、緊張緩和や可動域拡大をコンセプトにした積極的なリハビリテーションを行います。1-2年で自然に治癒することがほとんどですが、早く症状を楽にするために積極的に治療を行います。